リニア中央新幹線ルートの南アルプストンネル区間は、図に示すように大井川源流の静岡県北端を通過する。この区間は、地質学的に糸魚川・静岡中央構造線と呼ぶ断層がルートを横断して存在している。この断層破砕帯は、地下に豊富な地下水を蓄えた水瓶と想定されトンネル掘削工事湧水の排出処理により大井川の流量減少が起こり流域に甚大な影響を及ぼすことが懸念されている。静岡県はJR東海に対し、工事に伴う湧水を大井川に全量戻す方法を具体的に説明してもらうことなどを要求している。それに伴う国交省有識者会議は結論時期を設定していないのでJR東海社長は令和9年の開業については厳しいという見通しだと述べている。過去の事例として丹那トンネルが挙げられる。トンネル周辺の水枯れ問題でわさび栽培が壊滅して酪農に転換した等である。